Gemini for Homeのアップデートがもたらす、可能性とリスクを考える

情報元:Google updates Gemini for Home with AI-powered camera automations – Engadget

こちらの記事では、Googleのスマートホーム向けAIアシスタント「Gemini for Home」が、時間設定、ボタン操作、センサーからの情報だけでなく、「カメラが見た内容」をきっかけに動くようになったと報じられています。

「以前からできたような…?」と思ってしまいますが

「家に帰ってきたら自動で電気をつける」「玄関に誰かが近づいたら通知する」といったことは、従来のスマートホームデバイスでも可能でした。
しかし従来の自動化は、位置情報、人感センサー、ドア・窓センサー、時間、音声コマンドなどをもとに動くものが中心で、「誰かが近づいた」「家に帰ってきた」「ドアが開いた」といった、比較的単純な条件をきっかけに動作する仕組みであったといえます。

一方、今回報道されているアップデートは、「カメラが見た内容をもとに、AIが様々な判断をすることができるようになる」というものです。

例えば…

  • 荷物の置き配が完了した映像が記録されたら、家族に通知する
  • 家族以外の人間の不審な動きが映像に記録されたら、照明を起動する
  • 家族が玄関カメラに映ったら、玄関の鍵を開ける
  • 自家用車がガレージの前に止まったら、照明をつけてガレージを開ける
  • 家の中の掃除をしている様子が映像に記録されたら、音楽を流す
  • 人が「手であおぐ動作」をしたとき、エアコンの温度を下げる

恐らく初期設定は必要ですが、このようなことが可能になると考えられます。

今までは「人間が指示をして、指示を実行する」「人間があらかじめ決めたルールに従って、指示を実行する」という関係でしたが、今回のアップデートは「リアルタイムの映像記録の内容をもとに、AIが柔軟に判断する」という関係への入口になると思われます。

独居の高齢者の見守りでも活躍する?

個人的に、映像の内容をもとにAI側が自律的に判断する仕組みは、独居の高齢者の方々の見守りにも使えそうだと思いました。

例えば以下のような状況のとき、ご本人やご家族に通知を出すことができるようになると考えられます。

  • 薬が指示通り飲めた様子が、映像に記録されなかった場合
  • 水分補給の様子が映像に記録されていない場合
  • 著しい生活リズムの変化や体調変化(身体を掻きむしっている、咳が増えている、など)が映像に記録された場合
  • ふらつき・転倒や、長時間動きがない状態が映像に記録された場合
  • 見知らぬ訪問者が映像に記録された場合

防犯として役立つだけでなく、しぐさや振る舞いからAIが体調の変化を検知し、より速やかに対応できるようになる可能性を秘めているといえます。

また、薬の飲み忘れが疑われるときにスマートスピーカーから「お薬を飲み忘れていませんか?」と通知できれば、飲み忘れを減らせる可能性がありますし、逆に飲み間違いを防ぐこともできるかもしれません。

在宅医療における情報収集でも活躍する?

今回のGemini for Homeのアップデートは、AIが映像から生活の変化を検知できるようになる可能性を示唆しています。映像を記録するだけでなく、先述のような変化を検知してAIがアクションを起こす仕組みは、在宅医療における情報収集のあり方を大きく変えるかもしれません。

居宅での生活の様子はご本人やご家族から聞き取ることもできますが、実際には「うまく説明できない」「家族も常に見ているわけではない」「訪問時にはたまたま普段通りに見えた」といった事情で、齟齬が生じることもあります。
もしGemini for Homeが、映像をもとにイベントを検知することができるようになれば、客観的な視点から必要な情報を収集するための有用な手段になる可能性があります。

もちろん、Gemini for Homeは医療機器ではありませんし、誤検知のリスクもあります。加えて、プライバシーの課題も無視できません(後述)。
ただ、生活空間の情報をもとに、ご家族や医療・介護スタッフがより早く変化に気づくことができるような仕組みは、独居の高齢者の安全を守ることに大きく寄与してくれるでしょう。

一番の課題は、プライバシー

今回のGemini for Homeのアップデートは、映像に記録されたあらゆる情報が、AIの判断材料として処理されることを意味していると言っても過言ではないため、高齢者の見守りに導入する場合、当然プライバシーには最大限配慮しなければなりません。

ゆえに、見守り目的でGemini for Homeを導入するのであれば、少なくとも以下の内容を最低限説明しておく必要があるでしょう。

  • 何を目的として導入するのか
  • どこにカメラを設置するのか
  • どの程度の範囲まで検知できるのか
  • 具体的にどのような情報が収集されるのか
  • 映像は保存されるのか(保存されるなら、どこに保存され、いつまで保存されるのか)
  • 誰が通知を受け取るのか
  • どの情報が医療・介護スタッフに共有されるのか

たとえ安全を守る目的でシステムを導入しても、納得が得られないまま導入すると、結果的にご本人の心身の健康を損なうことになります。
ご本人からすれば「24時間自分の生活を監視するシステム」になるわけですから、ご本人の尊厳や納得感を含めて考えたうえで、慎重に導入する必要があるでしょう。

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