MITの生成AIが、新規抗菌薬候補を「設計」

AI designs new antibiotics to combat superbugs – Tech DigestResearchers at the Massachusetts Institute of Technology (MITwww.techdigest.tv

Using generative AI, researchers design compounds that can kill drug-resistant bacteriaWith help from artificial intelligence, MIT researchers designews.mit.edu

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが発表した「AIが原子レベルで新規抗菌薬を設計する」という革新的な方法に注目が集まっています。いわゆる「耐性菌」による感染症は、世界でも多数の死者を出していることを考えると、新規抗菌薬というワードも非常に重要ですが、個人的には「設計」という部分に注目しています。

従来の創薬におけるスクリーニングとの違い

従来のスクリーニングでは、既存の大量の化合物の情報を元に、新規化合物や既存化合物と類似した構造の化合物を見出していましたが、今回のMITの研究では、「数百万の化学構造ライブラリ」をAIに与えて「化合物の構造に関するルール」を学習させ、そこから原子レベルで全く新しい構造を「設計」するようアプローチしたのです。 つまり、今まで見つけることができていなかった、新しい種類(構造や作用機序など)の薬が誕生する可能性があるということです。

今回設計された新規化合物に関する情報

MITが設計された2つの化合物は「NG1」「DN1」と名付けられ、前者は淋菌に、後者はMRSAなどに感染させたマウスに対して有効性を示しました。

MITの報告によると、NG1はグラム陰性菌の外膜形成・維持に不可欠な「LptA」というタンパクに関連する作用を示唆しています。安全性の面では、ヒト培養細胞に顕著な障害を示さなかった(in vitro)と報告されています。

一方DN1は、MRSAの細胞膜の透過性を阻害する作用が示唆されています。安全性の面では、実際に投与したマウスにおいて、有害作用が観察されなかったと報告されています。

AIは、より一層創薬における重要なパートナーになる

MITも言及していますが、AIは「安価で高速に」新規分子を提案できる点が大きな強みです。 従来の人間中心の創薬プロセスに比べ、効率的に候補を絞り込んで設計が進められるため、時間と費用の両面での優位性が期待できます。

現在の化合物スクリーニングにおいてもAIは活用されていますが、今回は全く別のアプローチでAIが活用された例でした。この方法は抗菌薬以外にも様々な新規治療薬の開発にも応用できると考えられます。今後は、AIがさらに強力な創薬のパートナーとなるでしょう。

現場の薬剤師もアンテナを張っておきましょう

今回は創薬の話題を出しましたが、今回のような創薬のアプローチが普及した場合、これまで研究が全くされていなかった種類の作用機序の薬が誕生するかもしれません。そうなると、今までの知識だけでは太刀打ちできなくなる可能性があり、より柔軟な発想や視点が必要になるでしょう。

常に新しい情報をキャッチし、今まで以上に積極的に学び続けることが必要不可欠です。

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