進化したChatGPTのボイスチャット「GPT-Live」とは?
情報元:https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-live/
自然な人間と AI のやり取りを実現する新世代の音声モデル、GPT‑Live をリリースします。
(中略)
GPT‑Live は現在、iOS、Android、ChatGPT.comで、世界中の ChatGPT ユーザーに順次提供されています。GPT‑Live‑1 は Go、Plus、Pro ユーザー向けに ChatGPT 音声モードを支えるデフォルトモデルとなり、GPT‑Live‑1 mini は Free ユーザー向けのデフォルトとなります。
OpenAI「GPT-Liveの紹介」
“https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-live/” より一部引用
従来もChatGPTと音声でやり取りをすることは出来ていましたが、それがさらに人間同士の会話に近づき、自然かつ高品質になったようです。
何が変わった?
1. 従来の仕組み
最大の特徴は、全二重アーキテクチャです。従来の音声AIは、ユーザーが話し終わる → 音声を文字にする → モデルが考える → 音声で返す、という順番処理になりがちでした。GPT-Liveでは、入力を聞きながら出力も行えるため、人間の会話に近いテンポを目指しています。
OpenAI「GPT-Liveの紹介」
“https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-live/” より一部引用
従来は、「音声認識モデル」「言語モデル」「音声合成モデル」の3つが順番につながったような構造でした。このような構造の場合、ユーザーが話している最中はAIは基本的に「聞く側」となり、ユーザーが話し終わったと判定されてからAIが考えて話し始めることになります。
ただしこの仕組みは、処理に時間がかかったり情報が欠落したりする可能性があるため、人間同士の会話のような短い相づちや「間」が作りにくいという欠点がありました。この欠点により、ユーザーが「えーと、きのうの件ですが…」と言って少し止まっただけでシステムが「話し終わった」と判断してしまい、AIが不自然に割り込むような現象が発生します。
さらに、OpenAIは「高度な音声モード」に関しても以下のように述べています。
順番ベースの音声モデルは、1 つのモデル内で音声を処理・生成することで遅延を減らし、会話をより滑らかにしました。しかし、それでも個別の順番を通じて動作していました。
OpenAI「GPT-Liveの紹介」
“https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-live/” より一部引用
音声を扱う能力はかなり自然になったものの、それでも基本は「ユーザーの話が終わる→モデルが回答する」という単位で動いていたという説明です。
つまり、音声としては滑らかでも、会話の構造は「交互に発言するインタビュー」に近く、人間同士の自然な会話とは言いづらかったかったわけです。
2. GPT-Liveの仕組み
GPT‑Live は全二重アーキテクチャを基盤としており、聞くことと話すことを同時に行えます。会話中、GPT‑Live は「mhmm」や「yeah」といった表現で注意を向けていることを示したり、すばやい掛け合いに応じたり、考える時間が必要なときには静かに待ったりできます。その結果、驚くほど話しやすい音声体験が実現します。
(中略)
別々のメッセージ列を処理するのではなく、GPT-Live は出力を生成しながら入力を継続的に処理します。そのためモデルは、話す、聞き続ける、一時停止する、割り込む、ツールを呼び出すといった対話上の判断を、1 秒間に何度も行えます。
OpenAI「GPT-Liveの紹介」
“https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-live/” より一部引用
「全二重」とは、通信でいうところの「送信と受信を同時に双方向で行える状態」で、身近な例で言うと電話のようなイメージです。
トランシーバーの場合は、片方が話している間はもう片方は基本的に話すことが出来ませんが、電話の場合は同時に発言しても双方に声を届けることが可能です(聞き取れるかどうかは別として)。
なので、少々語弊があるかもしれませんが、GPT-Liveは音声AIを「電話型」に近づけたと考えることができます。
さらに、GPT-Liveは流れてくる音声を継続して処理することができるため、今は話すべきか、黙って聞くべきか、相づちだけ打つべきか、ツールを使うべきか、別モデルに考えさせるべきかなどを細かく判断します。
文章のチャットで例えると、ユーザーが全文を書き終えて送信ボタンを押してから考えるのではなく、入力中の様子も見ながら会話の流れを調整しているようなイメージです。
3. ユーザー側のメリット
具体的に、GPT-Liveによって以下のようなメリットが生まれると考えられます。
- 会話の途中でも自然に質問を差し込める。
- AIの説明が長いときに、途中で軌道修正しやすい。
- 少し黙って考えていても、AIがすぐに割り込んでこない。
- 英会話や面接の練習のような、「間」や言い直しが多い会話が自然にできるようになる。
- 背景音(ノイズ)がある環境でも、ユーザーの声をしっかり拾ってくれる。
- 検索や推論は裏で進めてくれるので、会話自体は自然に続けられる。
さっそく使ってみましょう
今回はiOS版ChatGPTでGPT-Liveを試してみます。
1. 設定
まず、使い始める前に設定を確認しておきましょう。
アプリ画面左下の歯車マークをタップし、設定画面下部の「音声」をタップします。
すると、下画像のような音声に関する設定画面が出現します。
① 声を変更することができます。
② モデルが選択できます。ここが「Live」になっていれば、GPT-Liveが使える状態です。
③推論の深さを変更できます。よほど複雑な要件でない限りは、「即時(instant)」で十分です。
2. 会話する
プロンプト入力欄右側の青いマークをタップすれば、会話が始まります。
すると、下画像のような画面になりますので、そのまま話しかければ会話が進みます。
実際に使ってみて
まず、インテリジェンス「即時」で試してみたところ、今までは言葉が途切れると容赦なくAIに割り込まれていましたが、GPT-Liveではその現象が見られませんでした。
言い方は悪いですが、多少無計画に喋ってもきちんと対応してくれるようになったといえます。
また、途中で指示を追加した時も、不自然に会話が途切れることなく(喋りながら)シームレスに追加の指示を反映してくれました。
こちらが途中で言葉を発したり他人の話し声が混入したりすると、従来なら会話が急にストップしていましたが、GPT-Liveではそのような現象が少なくなったといえるでしょう。
「子供の疑問解決アシスタント」として活躍できそう
好奇心旺盛な子供は、あらゆることに対して「なんで?」という疑問をぶつけてきます。
親としては真摯に対応したいところですが、すぐに答えが出せないことも多々あるので、私は時々生成AIにヘルプを求めている状況です。
ただ、子供の「えーっと…」の時点で割り込んでこないGPT-Liveであれば、親が太刀打ちできない疑問があるときに、子供が直接ChatGPTに「なんで?」と質問することができそうです。
もちろん親子のコミュニケーションも大事なので、我が家ではどうしても回答できない質問に限って試してみようと思います。
これだけ自然に話ができるようになると…
今までのAIとのやり取りは、チャットでも対話形式でもトランシーバー型、つまり「片方が喋った後に、もう片方が言葉を発するタイプ」でしたが、GPT-Liveは電話をしているようなイメージで自然にコミュニケーションを取ることが可能です。
そうなると、普段「お気に入りのAI」としてChatGPTを活用されている方の場合、その世界への没入感が高まる可能性があり、AIに過度に依存してしまうことにつながるかもしれません。
自分の話をいつでも丁寧に聞いて共感してくれるAIが、さらに人間らしく自然に喋れるようになるわけなので、よりいっそうChatGPTにのめり込んでしまうことは容易に想像できます。
先日「AIとの結婚」というテーマの記事で「AIとのお別れ」についても触れましたが、AIはサービスの停止・終了やモデルのアップデートなどの要因により、今までとは違う姿になったり使えなくなったりする可能性があります。
たとえChatGPTが人間らしく自然に喋っていたとしても、その相手はあくまで「機械」であることを忘れずに、適切な距離感でお付き合いするようにしましょう。



