画像診断で活躍する生成AIモデル

Generative Artificial Intelligence in Medical Imaging: Foundations, Progress, and Clinical TranslationGenerative artificial intelligence (AI) is rapidly transformiarxiv.org

こちらでも触れられていますが、画像診断の分野でも生成AIを活用した技術が急速に発展しています。そこで活躍するモデルたちは「何か特殊な訓練を受けた特別なもの」と思われるかもしれません…いや、実際その通りなのですが、その大元の考え方や技術は、私たちが普段活用している生成AIの「モデル」と同じものもあります。

今回は、先ほどの論文で登場した、画像診断で活躍する生成AIモデルについて解説します。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

今だに正しい発音が「ガン」なのか「ギャン」なのか分からないので、私は「ガン」と「ギャン」の中間くらいの発音でごまかしています。

話を戻すと、GANは、「画像を作る役」と「本物か偽物かを見分ける役」が競い合いながら学習する仕組みです。
写真のようなリアルな画像をつくるのが得意ですが、学習が安定せず、同じような画像ばかり作ってしまうリスクもあります。

例えると、「贋作画家(生成側)」と「鑑定士(判別側)」が勝負を続けているようなイメージです。互いにレベルが上がることで、贋作がより本物らしくなっていきます。

VAE(変分オートエンコーダー)

これはさすがに「ブイエーイー」で良いでしょう。おそらく「ヴァエ」ではないです。

話を戻すと、 「画像を一度圧縮して特徴を取り出し、それをもとに再現する」仕組みです。
画像を「特徴マップ」のようなものに変換するので、学んだ特徴を理解しやすく、処理も比較的速いのですが、作り出す画像がややぼんやりして、鮮明さが劣ることがあります。

例えると、「写真を縮小コピーして保存し、それを拡大コピーで復元する」ような感じです。全体像はよくわかりますが、細部の再現がうまくいかない時があります。

拡散モデル(Diffusion Model)

画像に少しずつノイズ(砂嵐のようなもの)を足していき、完全に真っ白にしたものを、逆に少しずつノイズを取り除きながら元の絵に復元する方法です。とても鮮明で多様な画像を作るのが得意で学習が安定していますが、画像を復元する工程が長くなり、比較的生成に時間がかかります。

Stable Diffusion、DALL-E 3、Midjourneyがこの仕組みで画像を生成しています。

Transformer

GPTの「T」の部分です。

話を戻すと、画像や文章の「全体のつながり」を見渡しながら理解するモデルで、部分的な情報だけでなく、全体の文脈や関係を捉えながらコンテンツを生成します。一方計算が複雑で、時間やコンピュータの資源が多く必要になります。
Transformerを改良したMambaは、計算効率がさらに改善され、より効率よく全体像をつかむことができます。

ChatGPT(GPT-4/4o/5)、Claude、Gemini など、私たちが普段使う対話型AIの大半はこの仕組みでコンテンツを生成しています。

自己回帰モデル(Autoregressive Model、ARモデル)

大動脈弁逆流症の「AR」や拡張現実の「AR」とは別物です。

話を戻すと、画像を「一つのピクセル(点)」や「小さなかけら」ごとに、順番に少しずつ予測して描いていく方法で、細かい部分まで丁寧に描写します。

例えるなら、イラストレーターがドット絵を1ピクセルずつ塗り進めるイメージです。1点ずつ描くため非常に時間がかかったり、途中で誤差が積み重なると全体に影響が及んだりします。

Google Imagen、OpenAIの初期画像モデル、動画生成のRunwayなどがこの仕組みです。

Foundation Model

インターネットや大規模な医療データなど、膨大な情報を学習して、いろんな仕事に応用できる万能型モデルです。一度学習すれば、追加の学習なしに別の課題(病気分類やレポート生成など)にも応用できますが、学習に莫大なデータと計算資源が必要なのと、答えに至るまでの経緯が解釈しづらいです。

例えると、「百科事典のような大きな知識の塊」で、質問に応じてページを引き出す仕組みと考えられます。

GPT-4o(テキスト+画像入力対応)、Gemini 1.5(マルチモーダルAI)、Meta LLaMA系列がこの仕組みでコンテンツを生成しています。

画像診断AIの課題

ざっくりと4つ挙げると、以下のようになります。

  • ハルシネーション:画像からは鑑別できない病名などを、もっともらしく提示してしまうリスクがあります。
  • 「一般化」の不足:ある病院で学習したモデルが、他地域では正しく働かない可能性があります。
  • EBMやXAI:AIが出力したテキストや画像などの根拠が十分説明できない可能性があります。
  • 法規制:EUのでは診断AIは「高リスク」に分類されており、今後、日本での規制についても注視しておかなければなりません。

今回のまとめ

生成AIは、画像の取得から診断、治療、予後予測まで幅広く応用されつつあります。
しかし、その恩恵を受けるには、先ほど提示したような課題を理解し、生成AIを過信することなく共存する必要があるでしょう。

調剤薬局の薬剤師は、直接画像診断AIを操作する場面はほぼありませんが、患者さんや医師との会話の中で「AIによる画像診断、画像生成」が話題に出ることは増えるかもしれません。その時に「仕組みと課題」を把握しておくと、もしかしたら話に華が咲くかもしれませんね。

コメントを残す

薬剤師のためのAIノートをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む