アドバイス9:AI搭載薬歴は、生成AIを使うイメージで
ここ最近で、さまざまなAI搭載薬歴が発表されています。服薬指導前に指導のポイントなどを整理して提案してくれる機能や、薬歴の内容を評価してくれる採点機能などの追加機能が備わっているものもありますが、どれも基本的には「中身の生成AIが、入力内容をもとに薬歴やトレーシングレポート、各種報告書の下書きを作成する」機能が搭載されていると考えて良いでしょう。
想定される活用例
私が実際にAI搭載薬歴を活用したことがないので恐縮ですが、最も効率よく活用するための流れとしては、以下のようなものが想定されます。
- 服薬指導の内容を、録音する
- 薬歴側が録音された音声の内容を、文字起こしする
- 文字起こしした内容と薬歴の情報を照合し、AIが新たな薬歴の下書きを生成する
- 内容を確認し、必要に応じて手動で修正して入力を確定する
設備の関係で録音ができなければ手入力になるとは思いますが、最小限の情報から下書きを作成してくれるという点は共通です。
普段生成AIを使うときと同様に、生成された内容は必ず確認を
生成AIが誰でも気軽に使えるのと同じで、AI搭載薬歴を活用するにあたって特別な専門知識が必要なわけではありません。強いて言うなら、AI機能を使うための操作方法や業務フローを覚える必要があるくらいです。
ただし、出力された内容をチェックすることを忘れないようにしましょう。これは単にハルシネーションを検出するという目的だけでなく、「薬剤師の責任のもと、内容を確認した」ということを示すための過程でもあります。
薬歴の内容は、生成AIが作成しようと人間が作成しようと、最終的には薬剤師の名前で確定・記録されることになります。つまり、薬歴の内容に関して何か指摘されたとき、「AIが書いた」という理屈は通らないのです。
ですから、AIに下書きを頼んだときは、その内容を確認して、必要に応じて自分で修正した上で、必ず自分の言葉で説明できるようにしてから確定しましょう。このようなステップを遂行することで、AI搭載薬歴の活用において必要な「説明責任を果たせる状態」と言えるでしょう。

AIに頼ったからといって、自分のスキルが低下することもありません
AIに薬歴の下書きを出力してもらっていると、どうしても自分のスキルが停滞しそうなイメージがあるかもしれませんが、先ほど述べた「きちんと自分の目で出力を確認する」プロセスを徹底することで、回避することができます。
AIの下書きを「薬学的に問題ないのか」「患者さんの情報に照らし合わせて適切か」「記載すべき内容は全て網羅されているか」といった観点からチェックする時、必ず自分のもつ専門知識が必要になりますし、そこで自分の知識だけでは判断できないことが出てきた場合は、代替手段で調査することになります。
そしてこれは、自分で薬歴を作成する場合でも同様なはずです。結局のところ、自分で入力するのか、AIが生成するのかの違いです。ゆえに、最終確認のステップをおろそかにしなければ、少なくともスキルが低下するようなことはないと考えます。
さらに、チェックの過程は新しい発見のきっかけにもなり得ます。
生成AIの出力の中には、自分が今まで目を向けていなかった部分や、自分に備わっていなかった知識が含まれている可能性もあり、AI搭載薬歴を活用することで、自分の力だけでは得られなかった新しい知識を習得することもできるかもしれません。その結果、逆に自分のスキルアップにもつなげられる可能性があるのです。
重要なのは、生成AIにしてもAI搭載薬歴にしても結果だけを求めるのではなく、新しい発見や学びを得る方向で活用することです。このような活用の仕方を心がけることで、業務効率化と同時に知識を深めることも可能になるでしょう。

今回のアドバイスのまとめ
AI搭載薬歴は、生成AIを使うようなイメージで活用することができると考えられます。
ただし、AIが出力した下書きの確認・確定に関しては、人間の責任のもと実施する必要があります。内容を精査し、自分の言葉で説明できる状態にしてから、確定するようにしましょう。
また、出力のチェックの過程をうまく活用すれば、スキルアップにも繋げることが可能です。
AI搭載薬歴は、新しい発見やまだ見ぬ知識を提示してくれる可能性がありますので、業務効率化と同時に自分の知識を深めるチャンスを得ることも可能です。
