Googleの音楽生成AI「Lyria 3.5」を使ってみましょう
Googleが提供しているAI作曲プラットフォーム「Google Flow Music」内で、新しいモデル「Lyria 3.5」が使えるようになりました。
今回は実際にこのモデルを使って、音楽を作ってみようと思います。
さっそく使ってみましょう
1. アクセス
まずはGoogle Flow Musicにアクセスし、Googleアカウントでログインしましょう。
2. プロンプトの入力
Lyria music generation prompt guide
今回は、こちらのガイドの内容を参考にしつつプロンプトを書いていくことにします。
ガイドによると、単なるキーワードの羅列よりは、「ジャンル」「ムード」「構成」「ボーカル」「音響」まで含めた具体的なプロンプトのほうが望ましいようなので、とりあえずテンプレートを作りました。
Title:
Genre:
Mood:
Instrumentation:
Tempo:
Vocals:
Language:
Lyrics:
Arrangement:
Production:
Length:
Reference mood:
- Title(タイトル)
曲のタイトルを指定します。 - Genre(ジャンル)
文字通り曲のジャンル・土台を入力します。Googleいわく、複数のジャンルを混ぜるのも良いそうです [2] 。 - Mood(雰囲気)
どんな感情・雰囲気を表現する曲かを指定します。もちろん複数並べてもOKです。 - Instrumentation(楽器)
どんな楽器を使うか選択できます。できるだけ具体的に書くと良いでしょう [1] [2] 。 - Tempo(テンポ)
曲の速さです。BPMで指定しても良いですし、言語で指定してもOKです。 - Vocals(ボーカル)
ボーカルの有無やボーカルの雰囲気を指定できます。ボーカルが必要なければ「Instrumental only」と指定しておきましょう。 - Language(言語)
歌詞の言語を指定できます。 - Lyrics(歌詞)
歌詞を自分で指定できます。何も書かなければAIが勝手に作詞します。 - Arrangement(曲構成)
曲がどのように展開していくかを書きます。チャートのように書いても良いですし、文章で書いてもOKです。 - Production(音質・ミックス)
レコーディングやミックスの雰囲気が指定できます。ざっくり言うと「録音の雰囲気」が変わります。 - Length(長さ)
曲の長さを指定できますが、秒単位で正確に反映されるとは限りません。参考までに、前世代のLyria 3 Proの出力上限は、最大3分と報告されています [3] 。 - Reference mood(参考イメージ)
ここには、どんな場面で流れる音楽かを指定します。
もちろん、必ずしもこのテンプレートである必要はありません。具体的にどのような音楽にしたいかが伝われば、別の形式でも大丈夫です。
3. 生成してみる
今回用意したプロンプトはこちらです。
Title:乙女座12位☆大爆発♡
Genre:オーケストラ+ロック
Mood:悲しみ、絶望、怒り
Instrumentation:グランドピアノ、ヴァイオリン
Tempo:60 BPMから徐々にスピードアップ、最終的には180 BPMに
Vocals:声の低い男性
Language:日本語
Lyrics:
なんであんなこと、言っちまったんだろうな。
俺が馬鹿だったからか?それとも仕事で疲れてたからか?
今更悔やんだって仕方がない。忘れよう、切り替えよう。
でもダメだ、頭の中でずっとあの言葉が響いてやがる。
ダメだ、ダメだ、ダメだあああああああ!!
あーっ!なんで職場の休憩室でー!
「アレクサ、電気を消して」
なんて言っちまったんだろうー!
あーっ!なんで職場の休憩室でー!
「アレクサ、電気を消して」
なんて言っちまったんだろうー!
うちの職場にー!!うちの職場にー!!
アレクサはー!!!…いなかったよなぁ。
Arrangement:
悲しい雰囲気のピアノの伴奏でスタート
↓
「今更悔やんだって」のあたりから徐々にヒートアップ
↓
「でもダメだ」からヴァイオリンも伴奏に参加
↓
「ダメだ、ダメだ、ダメだあああああああ!!」でCrescendo molto、1回目の「あーっ!」が盛り上がりの頂点
↓
そのままのテンションで「うちの職場にー!!うちの職場にー!!」に突入し、「アレクサはー!!!」で爆発、G.P. 。
↓
「…いなかったよなぁ。」は冒頭のテンションで。
Production:お風呂場で録音したようなイメージで。
Length:90秒
Reference mood:
自分が職場で「アレクサ、電気を消して」と言ったことを悔やんで、恥ずかしい思いをしている。
そして黒歴史が頭の中で延々と巡るようなイメージで、最後は恥ずかしさと怒りが爆発する。
そして、実際に出来上がったのがこちらです。
さすがにすべての指示を忠実に反映するのは難しかったようですが、曲の雰囲気は比較的私の好みでいい感じです。
ボーカルに関しては、ちょっと日本語が不自然なのと、歌詞にかぎ括弧をつけてしまったために「かっこ、」とか言ってますね。
ただしこれに関しては、歌詞を一切指定しなかった場合は比較的流暢な日本語で歌ってくれたことを踏まえると、恐らく私の歌詞の書き方に問題があった可能性が高いです。
(歌詞の指定をしなかった場合の楽曲はこちら)
…よく見てみると、歌詞がローマ字で書かれています。
つまり、日本語で書くよりローマ字で表現したほうが、確実に日本語っぽく発音してもらえるのかもしれません。
4. リミックス
作った音楽をリミックスすることも可能です。
できた音楽にカーソルを合わせて「Remix」を選択することで、リミックスのメニューに移動することができます。
- Cover
曲のメロディや構成を保ったまま、演奏のスタイルなどを変更する時に使います。例えば「同じ曲をピアノ版やオーケストラ版にしたい」など。 - Replace
曲の一部を別の内容に置き換える時に使います。例えば「ドラムだけ変えたい」「ギターをストリングスにしたい」など。 - Extend
曲の続きを生成する時に使います。例えば「30秒の曲をさらに続けたい」「エンディングを追加したい」など。 - Use prompt
プロンプトで曲を編集する時に使います。例えば「もっと壮大に」「女性ボーカルに」「テンポを遅く」など。 - Variation
元の曲をベースに、異なるバリエーションの曲を生成する時に使います。例えば、「この曲のインストゥルメンタルバージョンが聴きたい」など。
ただし、音楽の一貫性は基本的に保たれないものと認識しておいたほうが良いでしょう。
実際「Cover」の画面でStrengthを一番低くした状態(変更は必要最小限)で歌詞だけをいじりましたが、もはや別の曲になってしまいました。
5. ミュージックビデオも作成できる
できた音楽にカーソルを合わせて、左から2番目の「Download video」を選択し、次の画面で「Music video」をクリックすると、ミュージックビデオを作成できます。
あとは、条件を指定してプロンプトを送信すれば、ミュージックビデオが完成します。
…本当はミュージックビデオに関してももう少し詳しく紹介しようと思ったのですが、この機能だけで記事が1本かけてしまいそうなので、また別の機会にご紹介しようと思います。
薬局で活用するなら
以下のような用途の楽曲を生成するのに使えそうですが、実際に生成した楽曲を使うときは、AIが生成した楽曲であることを明確にしておいたほうが良いでしょう。
- 薬局内で流す、落ち着いた雰囲気のBGM
- SNSに投稿する動画用の、明るく活発なBGM
- 薬局紹介用のプロモーション動画のBGM
頑張れば薬局のテーマソングも作れそうですが、実際にLyria 3.5だけで意図した楽曲に仕上げるのは相当ハードルが高いため、本格的にテーマソングを作ることを考えるなら、個人的には正式にプロに依頼したほうが確実だと考えます。
アーティストの権利にも配慮されている
All prompts are checked by safety filters. Prompts that trigger the filters will be blocked. This includes prompts that request specific artist voices or the generation of copyrighted lyrics.
(すべてのプロンプトは安全フィルターによってチェックされ、フィルターに引っかかったプロンプトはブロックされます。具体的には、特定のアーティストの声を要求するプロンプトや、著作権で保護された歌詞の生成を求めるプロンプトが含まれます。)
Gemini API「Generate music with Lyria 3」
“https://ai.google.dev/gemini-api/docs/music-generation?hl=en“より一部引用、日本語訳追加
Googleは、「Lyriaは創作を支援するツールであり、アーティストを再現・代替するツールではない」という立場を明確にしており、「特定のアーティストの声」や「著作権のある歌詞」が含まれるプロンプトおよび生成結果は、セーフガードで弾かれる仕組みになっています [4] 。
さらに、Googleによると以下のような仕組みも備わっているようです。
Lyria also includes recitation checking and artist intent checks.
(Lyriaには、既存のコンテンツをそのまま再現してしまわないかを確認する仕組みと、実在するアーティストを模倣しようとする意図がないかを確認する仕組みも組み込まれています。)
Google Cloud「Lyria 音楽生成プロンプトガイド」
“https://docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform/models/music/music-gen-prompt-guide“より一部引用、日本語訳を追加
つまり、セーフガードに「このプロンプトは実在アーティストを再現しようとしていないか」を判定する仕組みが備わっていることが示唆されています [1] 。
なので、「〇〇みたいな曲を作ってください」と指示するのではなく、先程のような形でなるべく具体的にプロンプトを書いたほうが良いでしょう。
では、いわゆる「クラシック音楽」は?
例えば、モーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク(K.525)」に関して、日本では実名で公表された著作物の著作権は原則として著作者の死後70年までなので、作曲に関する著作権はすでに消滅していると考えられます。
では、「モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークを再現した曲を生成してください」というプロンプトを入力した場合、楽曲は生成されるのでしょうか。
試してみた結果は、以下のとおりです。
つまり、たとえ著作権が消滅していたとしても、特定の作曲家や特定の楽曲を指定することは基本的に不可能であるといえそうです。
参考資料
[1] Google Cloud「Lyria 音楽生成プロンプトガイド」
https://docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform/models/music/music-gen-prompt-guide
[2] Google DeepMind「How to create effective prompts with Lyria」
https://deepmind.google/models/lyria/prompt-guide/
[3] News from Google「Lyria 3 Pro: Create longer tracks in more Google products」
https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/lyria-3-pro/
[4] Gemini API「Generate music with Lyria 3」
https://ai.google.dev/gemini-api/docs/music-generation?hl=en





