患者さんからのお問い合わせも、高度化しています
調剤薬局で働いていると、患者さんからさまざまなお問い合わせを受けますが、その中で特に多いのが医薬品に関連したお問い合わせになります。
例えば、
- 薬を飲んでいてこんなことがあったけど、副作用ですか?
- 飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
- 薬が足りないんですけど…
調剤薬局にもよりますが、私の環境ではこのようなお問い合わせが多い印象です。
ただ、現代はインターネットでさまざまな情報が得られる時代ですから、中には「この薬を飲んでいるときは授乳を避けることが望ましいと書いてあるんですけど…」といった、より高度な内容のお問い合わせを受けることもあります。
私だけかもしれませんが、このようなお問い合わせを受けると、「インターネット上の情報で自己判断せずに、とりあえず薬局に問い合わせる」という選択をしてくださったことに安心します。
ただ、最近は…
うちの子は体重◯◯kgですが、この薬の1回量は少なくないですか?
※実際の例を少々加工しています
この薬は、今飲んでる別の病院の薬と併用注意ですよね?飲んでも大丈夫なんですか?
※実際の例を少々加工しています
このような、さらに高度な質問が増えました。
これは私の勝手な想像ですが、生成AIの爆発的普及が関係しているような気がします。
そもそも生成AIブーム以前は、このような具体的な指摘ではなく「ちょっと少なく見えるのですが…?」「飲み合わせは大丈夫ですか?」といった質問になる傾向がありました。医療関係者ならともかく、専門外の方の場合は、ここまで具体的な内容の質問を考えるのに労力が必要になるからです。
しかし、現代は生成AIで誰でも専門知識に触れられる時代です。薬情を写真に撮って生成AIに添付すれば、処方内容について簡単に質問できます。
ゆえに、上記のような具体的かつピンポイントな質問ができるようになったと考えられます。
薬局に問い合わせをしてもらえることのありがたさ
先ほど「インターネット上の情報で自己判断せずに、とりあえず薬局に問い合わせる」ことに安心するということを書きましたが、それは生成AIの場合でも同様です。
というのも、生成AIの回答は常に正しいわけではありませんし、質問者側が十分な情報(本来、回答に必要な情報)を与えていなければ、回答自体は正確な内容であったとしても、質問者にとっての適切な情報にはならない場合もあります。
また、別の記事で触れましたが、一般的な生成AIの利用ではなくGoogle検索の「AIによる概要」のような機能から得た情報をうのみにすることも、リスクが高いと考えられます。
前々から主張していますが、生成AIの回答が患者さんにとって適切な情報であるかどうかを判断できるのは、かかりつけの医師や薬剤師といった専門家だけです。
なので、「生成AIに聞いてみたらこんなことを言っている」といったお問い合わせは、患者さんへの健康被害を未然に防ぐという観点から、非常にありがたいのです。
何でも聞ける関係性の構築が必要
従来のようにインターネットで調べたり、生成AIや「AI要約」を使ったりして得られた情報を信じてしまうと、本来意図した治療効果が得られなくなる可能性があります。
このようなリスクを防ぐために調剤薬局が窓口になるべきですが、普段から対応がおざなりな薬剤師には、積極的に質問をしようとは思わないかもしれません。
「いや、うちにくる患者さんは相談してくれるよ」と思われている薬剤師も多いかもしれませんが、実はその裏で、相談を渋って自己判断をしている患者さんが存在する可能性も頭に入れておかなければなりません。
なので、不適切な自己判断で生じうる健康被害を未然に防ぐために、患者さんが薬剤師に対して何でも気軽に聞けるような、良好な関係性の構築が必要です。
薬局としての質を上げる目的ではなく、患者さんの尊厳・健康を守るという「医療の担い手」としての役目を果たす目的で、コミュニケーションの質を高める必要があるでしょう。