アドバイス2:生成AIで自分の思考力が低下する?
生成AIを使っていると、瞬時に回答を生成してくれるので、中には自分の「思考力」が落ちてしまったり、伸びなくなったりするのではないかと懸念されている方もいらっしゃるかもしれません。
先行研究によると
明確に「生成AIで認知機能や思考力が低下した」ことを主張する研究は見当たらなかったのですが、「人は『考えたつもり』になりやすく、実際には思考の幅や深さが不足している [1] 」「生成AIで直接回答を生成すると、それらしい成果物はできるが、思考は浅い [2] 」ことを示唆する研究は存在しました。
つまり、重要なのは生成AIを活用するかどうかではなく、「どのような活用の仕方をするか」であると言えます。
では、どのように活用すれば良い?
一言で言うと、答えや結論を直接求めるだけの使い方を避け、自分の知見や選択肢を広げる目的で活用すべきだと考えています。

生成AIの素晴らしいところは、出力の内容から新たな知識やアイデアを発見し、そこからさらに知識の引き出しを増やしていく「発想の連鎖」のきっかけになれることです。
例えば、「腎機能障害を認める患者さんに対する、メトホルミンの投与量について教えてください」と質問すれば、以下のような回答が得られます。

この回答の内容をきちんと習得するのは言うまでもなく重要ですが、それだけでなく、回答に記載されている「ヨード造影剤を使用する検査…(中略)…乳酸アシドーシスを起こすおそれ」というところに注目して、この内容についてさらに深掘りすることもできます。
そして、その深掘りの内容からも気になるワードをピックアップして、さらに深掘り…を繰り返していくことによって、どんどん周辺知識を増やすことが可能になります。
自分では思いつかないようなアイデアを考えてもらうのも良い

また、生成AIは良いアドバイザーにもなってくれます。
例えば、業務を効率化したいと考えたときに、自分や同じ薬局内のスタッフだけで良い案が出なかったときは、生成AIにアイデアをたくさん出してもらうと良いでしょう。
「業務を効率化しようと思って、スタッフで話し合ってみてこんな意見が出たけど、どれもうまくいきそうになかった…これ以外に何か良い案を5つ教えてください」といった形で質問すれば、新しい視点からのアイデアを提示してくれるでしょう。
ただ、アイデアを出してもらって終わり、ではもったいないです。
生成AIに提示してもらったアイデアについてスタッフで話し合って、そこで集まった意見をもとに生成AIに再度質問すれば、アイデアの質をさらに高めることもできます。
このような方法は、アイデアの選択肢を広げて質を高めることができるだけでなく、その過程でスタッフとの活発なコミュニケーションも生まれます。使い方次第で様々な「副産物」を得ることができるのも、生成AIの魅力といえます。
今回のアドバイスのまとめ
「生成AIで認知機能や思考力が低下した」ことを示唆する学術論文・文献はありませんが、生成AIに答えだけを求める使い方をしていると、思考の幅や深さが欠けるリスクは示唆されています。[1] [2]
つまり、重要なのは「生成AIを使うかどうか」ではなく「生成AIの使い方」です。
生成AIの良いところは、出力の内容から新たな知識やアイデアを発見し、それをさらに生成AIで深掘りして、知識の引き出しを増やしていく「発想の連鎖」のきっかけになれることです。また、活用の仕方次第ではスタッフとの活発なコミュニケーションも生まれるなど、様々な「副産物」を得ることもできます。
生成AIに答えだけを求めることなく、自分の知識を深めるような使い方を心がけましょう。
参考文献
[1] Tarvirdians, M., Chandrasegaran, S., Hung, H., Jonker, C. M., & Oertel, C. (2025). Reflection before action: Designing a framework for quantifying thought patterns for increased self-awareness in personal decision making. arXiv. https://arxiv.org/abs/2510.04364
[2] Kosmyna, N., Hauptmann, E., Yuan, Y. T., Situ, J., Liao, X.-H., Beresnitzky, A. V., & Braunstein, I. (2025). Your brain on ChatGPT: Accumulation of cognitive debt when using an AI assistant for essay writing task (Preprint). arXiv. https://arxiv.org/abs/2506.08872v1